校長挨拶:創立五十周年を迎えて
本校は創立五十周年という節目を迎えました。
同窓という関係は、不思議な距離感の上に成り立っています。卒業して間もない頃には身近に感じられていたものが、年月とともに意識の中から遠のいていく。それぞれの生活があり、日々が重なっていく中で、特に意識することもなくなっていくのは自然なことだと思います。連絡を取り合う機会も減り、互いの近況を詳しく知ることも少なくなっていきます。
それでも、完全に切れてしまうわけではありません。ふとした折に思い出す顔があります。何かをきっかけに、急に記憶がよみがえることもあります。名前がすぐに出てこないこともありますが、「あのとき同じ場所にいた」という感覚だけは残り続けます。断片的であっても、その記憶は確かに自分の中にとどまっています。
考えてみれば、特別な約束をしているわけでもなく、継続して何かを共有しているわけでもありません。それでも同じ学校を卒業したというだけで、どこかに引っかかり続けている。その緩やかさがあるからこそ、無理なく年月を越えて残っていくのだと思います。同窓という関係は、強く結びついているから続くのではなく、むしろ無理に結びつこうとしないからこそ続いていく側面もあるように感じます。
一方で、私にとって同窓会は、そうした「思い出すもの」であるだけではありません。日常の中で卒業生がふと学校を訪ねてくることがあります。特別な用事があるわけではなく、近くに来たからと立ち寄ることもあれば、人生の転機に顔を見せてくれることもあります。すると、そこから自然にいわゆる同窓会が始まります。近況を聞かせてもらい、こちらの知らない当時の話を教えられることもあります。当時は気づかなかった出来事や、それぞれの立場から見た学校の姿を聞くこともあり、こちらにとっても新たな発見があります。気がつけば時間はあっという間に過ぎています。
時には子どもを連れて訪ねてくる者もいます。その姿に、過ぎてきた年月の長さを実感すると同時に、同じ場所を出発点としながら、それぞれが異なる時間を積み重ねてきたことをあらためて感じさせられます。
節目の年にあたり、同窓会がこれまで積み重ねてこられた歩みに敬意を表しますとともに、私自身も一人の同窓生として、このつながりを大切にしていきたいと考えております。